[本] 大君の通貨



時代小説の第一人者、佐藤 雅美氏の処女作。
幕末、日本はアメリカのペルリ提督に武力によって脅迫され、開港を迫られた。
開港すれば、どうしても必要になるのが為替である。
他国の通貨を自国の通貨に変える。それが為替である。
その為替を巡る、日本対他国の阿呆な顛末を見事に書ききったのが本書である。
ただ、本書だけではわかりにくいので、「将軍たちの金庫番」を読んでから読む事をお勧めする。

将軍たちの金庫番
 http://cast-a-spell2.at.webry.info/200809/article_7.html

とりあえず、読むと、ハリス死刑、オールコック無期懲役って言いたくなる。

まず第一に、小判=一分銀*3というのが名目通貨である事を理解していなかった。
日本側はちゃんと水野忠徳が説明している。
それを「そんな事はありえない」などと却下。

で、ハリスは気づいていたはずだが、利殖のために嘘をついた。
オールコックは気づいていなかったようだが、阿呆としか言いようがない。

日本側は、結局ハリスの恫喝に屈し、さらにハリスの助言をいれちゃってハイパーインフレ発生。
で、経済的に大混乱したんである。
それが読むとよくわかる。

何が、「親切にもハリスが解決策を助言した」だ。
親日家であろうと、なんであろうと、ハリスがやった事は経済破壊他ならない。
結局、これが武力のない日本の限界であろう。

これまでも、これからも。
おそらく同じ事は繰り返されるに違いない。


[本] 戦場のライラプス



うーん。
もう少しって感じですねえ。

話ってのは、帯に書いてある説明の通りで、同じ顔をしたライラプスとハヤ、片方は腕を失い接ぎ木した。もう片方は腕を失った。その二人が出会った時、血みどろの真実が明らかにされるって話です。

いくつか。
作中のテーマになっている、体細胞クローンはまだまだ実用になってません。
作中では、万能細胞による失われた四肢の回復はできなかったって話になってますが、しばらく先はそっち側の研究が本堂になるでしょうなあ。
クローンってのは、この例をみればわかるように、同じ遺伝子から別人を作り出す技術です。
わからんのは、クローンの母胎は結局誰だったんかって事ですね。

なんかね-。
あまり好みの小説ではなかった、という所。
喪失、がメインテーマだからかもしれません。

[ラノベ] 聖剣の刀鍛冶



コミック化、アニメ化おめ。
だが、昨今のアニメの粗製濫造ぶりだとかなり不安が残るんだが、この小説の祖筋は非常に単純なので大丈夫だろう。

さて、四巻。
今回は独立交易都市の外に舞台を移しますが、登場人物があんまり変わっていないのと、風俗をほのめかしてるくせに、会議で紙面を費やしてるので、あんまり舞台が移った感じがしないです。
ま、それは脇に置いておいて、残りの時間の少なさに焦ったルークが暴走するって話です。
や、この所、セシリーが暴走して悟り開いて云々だったわけですが、今回はルーク。

吹っ切れたら、呵々大笑して、人外をなぎ倒していく姿はなんとも青春しておりますな。

とまれ、まともなアニメと漫画が作品になりますように。

[本] 薄妃の恋(僕僕先生)



薄妃の恋は、大絶賛された、「僕僕先生」の続編短編集である。
私は、昨年読んだ本の中でラノベではない本としては僕僕先生が一番好きな小説である。
だから、大いに期待して、ついでに「あれで続編をだすかよ」と言った心境であった。


・羊羹比賽
・陽児雷児
・飄飄薄妃
・健忘収支
・黒髪黒卵
・奪心之歌


全編、王弁が僕僕にいいようにあしらわれているのを愉しむのが、この本の正しい楽しみ方であろう。
この二人、マッタク仲が進展していないようで進展しているようで。
まあ、僕僕はん歳であるからして、王弁とはちげえなあと。
しかし、王弁、マゾ属性がだんだんとついてきてるようで、この先が心配です。そのうち僕僕のXXXを所望するようになったりして。

さて、短編それぞれの印象だが、個人的に好きなのは羊羹比賽も好きだが、陽児雷児かなと思う。

陽児雷児は、雷様の子供と人間の子供の心温まる交流を書いた一辺。
雷様の武器を拾った子供に、雷様の子供がなんでも願いを叶えてやるという。
子供が願った事は、毎日も来てくれという事。
しかし、雷様の子供が遊びに来る事によって、毎日豪雨が降るという。
この怪異を、王弁は止められるのかー?
まあ、普通、俗物的に金が欲しいとか言いそうなものんですが、子供の願いはさもなりなんという感じ。
そして、武器を返す時も。
わかる気がする。


こんな感じで、心温まる?というか王弁がいじられる六編。
まあまあ、お勧めです。

[雑記] 今年のよさげげな記事

今年も残すこと数日となりましたけれど、今年も結構本を読みました。
まあ、そのほとんどがラノベばっかりですが。

で、このブログに来る人はほとんどいないわけなんですが、それでも上位3つぐらいをランキングを。

1位 レッドアイズ
 http://cast-a-spell2.at.webry.info/200802/article_12.html
 →戦争ものの漫画です。しかし、もやしもんとかを抑えて、なんでこれが一位なのかわかりませんが、一位。
  このブログに乗っけていない、読んだ漫画なんかも結構多いわけなんですが、そういうのをあわせても
  この漫画は飛びぬけていた感じがあります。
  後はちゃんと完結してくれることを祈ってますわー。

2位 ゴールデンエイジ
 http://cast-a-spell2.at.webry.info/200801/article_12.html
 →サンデーで連載していたサッカー漫画。
  現在、本誌では完結しちゃいましたね。そこそこ面白かったんですが、終わってしまいました。

3位 キングダム10
 http://cast-a-spell2.at.webry.info/200806/article_11.html
 →今、一番乗りに乗ってる戦国時代漫画。下僕の少年、信が成り上がって、現在100人長として、
  部隊を率いております。
  で、ホウケンにずたずたにやられてるところです。さて、どうなるかな。

こんなところで。

  

[漫画] もやしもん7



限定版ではありません。
もやしもんの第七巻。相変わらずのペースで進んでいますが、相変わらずです。
つーか、もう少しペースを速めて下さい。

話は日本に帰ってきてようやく発酵の話に戻ります。大豆発酵させたり、吟醸作ってみたりとかそういう所で、金城さんがやってきて結城と遭遇、果たしてどうなるー?って奴です。

話の方はもう読んでもらうしかない密度なんで、おいといて、インタビュー記事のURLをおいときます。

 http://manganohi.jp/interview/17/5001.html

マジですか、この人。こういう人を天才つーんでしょうねえ。びっくりです。

[本] ローマ亡き後の地中海世界



少し前から、「ローマ人の物語」の塩野七生が海賊の物語を書く、と言っていた。
その本がこれである。
西ローマがなくなった後から、ルネッサンスまでのつなぐ物語。
この本を読むと、暗黒の中世と呼ばれる一端が少しだけわかる。少しだけ、というのは叙述の中心が地中海であり、サラセン海賊であるからだ。
そして、主題は「パクス」が失われた時、何が起こるかという事を示してる。

とりあえず、私にとって驚きだったのは、高校の世界史で習ったイスラムが拡張していった時代の税について以下のようにならった事が、実のところほとんどあやまりだったという点だった。いや、そもそも改宗するか、人頭税払えという話だったという説明だったが、シチリアでジズヤが始まる前にコルドバが落ちてる。
それまでの間、改宗するか死かいずれかだったわけで。
ついでに言えば、ヨーロッパ側もキリスト教徒以外は死ね、だったわけですよね。なんでかしらんのですが、ユダヤ人だけは生き残って。
なんか、中世と呼ばれるにふさわしい殺伐感をこの一件から感じました。まだ、古代の方がユーモアがあったと思う。

さて、そんな所は置いておき、本書の中盤はひたすらサラセン海賊である。
この辺り、塩野はあまりつっこんでいないが、もう少しイスラム側の資料を丹念にほぐしてほしかった。北アフリカの近辺で、海賊行為が産業化していた原因について、民族性という所と新旧イスラムのすれ違いという点だけでは少し納得いかない。
一方で、これを受ける側のヨーロッパ側の動き、特にシチリア、南イタリア辺りの下りはさすが。いやあ、倭寇なんて目じゃないですね、というあらしっぷり。その中で、法王は孤軍奮闘、ビザンチンはやる気なしというかやる能力がない。
三章でイスラムからキリスト教徒を救い出した人々の事を描いているが、その数が一〇〇万とも言われると書かれているが、という事はその数倍はさらわれてるわけです。とんでもない数です。

しかも、イタリアも危うくイスラム化する所だったというのは少しびっくり。
わからないのは、トゥール・ポワティエでイスラム側は負けた訳なんですが、その後の行為がいまいちちぐはぐ。
バグダットなんかを建設して、主力がそっち向きになって、イスラム戦士から蛮性が失われたからでしょうか。
それ以後となると、シチリア制服ぐらいで、散発的すぎます。

さて、その後のノルマンコンクエストがおかしい。
ノルマン騎士って世界最強ではないかと。イギリス制服とか、一〇人で始めたシチリア奪還とか。
その後のシチリアの統治もお見事、しかし、これも歴史のあだ花で、それがルネッサンスに続く。


だらだらとおもしろい点を書いていったが、書ききれない。
こうして見ると、歴史はやはりおもしろい。そろそろ、塩野七生ばあさんも結構な歳なので、この人に続く国民的歴史作家が生まれて欲しいと思う。


[本] Self Reference ENGINE



このSFがすごいって奴で紹介されていたので、購入。
作者の円城 塔氏の作品は初めて。
読んでみて、ぶっ飛んだ。SFなんだが、これを書いた人間の頭の中はどーなっているのか、と。

まあ、一八個の短編からなるんだけれど、そのいずれもゆるーい感じがしている。
で、舞台は時空間がぶっ壊れた世界での巨大知性体同士の戦いである。
その結果として、因果律がぶっ壊れているので、読み手もえらい大変である。
私小説な感じの所があって、おおむね一人称で書かれており、読みやすいのはよみやすいんだけれどさ。

とりあえず、好きな短編について。

「BOX」
意味不明な先祖伝来の箱と格闘する?青年の話。
結局グタグダだが、このぐだぐだぶりも非常によい。

「Yedo」
これまた意味不明だが、笑える。もうなんだって感じ。
巨大知性体が超知性体と接触するために、お笑いを使うという話。
そこで殺人事件がおこって、それは超知性体の手が。。。

まー、しかし、巨大知性体が倒れた原因が、あの医者とリタだってのがw


[本] 女子高生=山本五十六



仮想戦記にも萌え。
GF長官、山本五十六は女子高生だった! めがね顔のクールビューティ。そんな彼女に率いられ、日本はアメリカを討ち果たすべく開戦の日を待ち構えるのだった!

というのは嘘です。マトリックスばりの仮想世界の中で、大東亜戦争を再現してみよう、という話です。その世界で山本の中の人が、女子高生が選ばれちゃった、という話ですが。
小ネタがぴりりと効いている。

特に、名前のぱくりが笑える。
主人公格の繁君。やあ、石破茂さんも、オタクなんだが、そこまでカリカチュアライズしますかねw
「しずかちゃーん」という声がどうにも石破さんの声になっちゃって、しょうがないです。
あと、ゲイツとか。
文科大臣のモデルはまだ不明。あと、米内の中の人のモデルも、どっちかわからんです。まー、普通に考えれば細川は存在感がないので出してこないでしょ。

それはともかく、本題の方。
なんか話の導入はむりくりっぽいです。
そもそもマトリックスばりの仮想世界を使う理由が中国と戦争しそうな状態になっちゃったので、「自衛官の再教育(特に幹部)」「自衛隊の人気UP]。そのために、第二次大戦の再現ですか。
さらに、学習用途でデジタルボックスを配布。世界史の単位を取らせる。
えーっと。
第二次大戦では、現代戦の参考にならんのではないかと思いますが。
特に尖閣諸島の軍事衝突ですと、ここン十年以上行われていない戦争になる可能性が非常に高いですねえ。
少なくとも第二次大戦とは密度が違う状態になるんじゃないかと。

それはさておき、話はおもしろいんですよ。
文章は読みやすい。これはありがたい。下手な仮想戦記物だとなんかねーという文章だったりするので。
で、萌え要素が入っていると言いましたが、中の人が女子高生なだけであまり萌え要素はありません。ほんと、皆無です。
これならば、女皇の帝国の方が圧倒的に萌え要素が多い。
ジャケットでだまされた人、いるんじゃないかなあ。私もその一人だけれど。まあ、おもしろかったので許す。

さて、小説の舞台のゲームなんですが、設定がなかなかエグいですね。
開戦だけは決まっているというのが。
それまでにどれだけ後知恵で工業力をUPできるか、うまく利用して嵌められるかってーのが1,2巻の山だったわけで。
でも、相手側がなんかね、ただのゲーマーという感じがしなくもない。
これは、海波とゲイツのミスなんじゃね? 明らかにダメだめだろ。
まあ、真珠湾を完膚無きまでたたきのめされ、オアフ島をがれきにかえちゃった所から、アメリカが如何に回復するかってーのが、楽しみです。

というか、中国との戦争はどーなってんのよ? なんか平和平和してるけれど。


後、一個だけ思った事。
五十美がノートで相手を嵌める所の話。
つーか、どう考えても罠でしょしょ?と思いました。
最大の理由は、ゲームの中の方が時間が多いって所です。
一日で二週間となると、調べるのは現実しかできなくても、考えるのはゲームの中の方ができるわけで。
そうなると時間の多い方でやるのが道理ってもんですよ。
大体、調べるとしても、ゲーム中に小沢の中の人に聞いた方が速い。
後、烏しかけるような女が、機密保持に無頓着ってありえねー。
つうわけで、どう考えても格の差でしょうなあ。。

続き早めに希望。




[漫画] 打撃女医サオリ



むちゃくちゃな漫画である。だが、それがいい。

ある日、二ノ宮直人は野球の帰りに告白される。
「愛してるわ。だから、一発殴らせて」とバットを振りかぶる女。
その日は危うく餌食になりそうだったが、かろうじて逃げ延びる。
翌日朝、面接に行こうとした彼は再び遭遇する。ストーカーから逃げようとしたまさにそのとき、結石で倒れる。
サオリはバットを振りかぶり、
「砕いてあげる」
の一撃で直人をちょくげき。直してしまった。かくして、彼はサオリの元で働くことになったのであった。

まあ、こんなブラックなコメディである。面白い。
話はなんでもありだろう。宇宙人の電波を受信する子やら、動物やらやくざがでてくる。直していくところも愉快である。

絵もわるくない。まあ、この人も古いからねえ。エルフを狩るものたちのころからかわってねえなあと思いましたよ。

[本] ヴァンパイア・キス~レインの恋



とりあえず、作者は出直してこいと言いたい。
前半はブログを本に出してみました風の事をやっていたり、後半は日記帳なのだが、このしかけがまったくおもしろくない。
実はトリックになっているのではないかと思って、見直してみたのだが、やっぱりわからん。
単なるページ稼ぎにしかなってないような気がする。
でなくちゃ後半もそのままやってるんじゃなかろうかと思う。
謎解きもなかったわけだし。
さらに言えば、非常に読みにくい。
これが致命的。
ログなんか見せられた所でおもしろくねえというか読み飛ばしてしまうじゃないか。

一応こういう形式のものといえば、「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」なんかを全部読んでいたり、やる夫も見ているので、抵抗感はないのだが、これは失敗だろう。

普通に書いてくれれば、もう少しおもしろかったモノを。。。
とりあえず、買う前に一〇ページぐらい見てからにしたほうがいいです。

[本] 彩雲国物語黒蝶は檻にとらわれる



いや、すばらしい。しかし、大丈夫なんか。設定が若干矛盾しはじめているような気がすごくすごくするんですけれど。

今回の最大の驚きは、紅邵可の本気モード覚醒。この巻の印象をすべて持って行った。やっぱ最強っぽい。
そろそろ御史台編も終わりですかね。

ところで、鄭悠舜なんですが、アホだなーと思いました。
正確に言うと、紅黎深がアホなんですけれど、まあこれは最初っからなわけで。
いくらなんでも、黎深に助けを求めるとは。
次期当主だからっつても、6,7歳なわけで。どんなに頭がよかろうと、6,7歳なわけで。
まー、当時の当主が裏切ったっつっても、その息子に助けを求めるとは。

もう一つ、縉華王。
ありゃ、私なら間違いなく殺してます。
その程度の負けはどうでもいいんですよ。殺してしまえば。
まあ、逆に言えばその程度どーでもいいわけで、ちゃめっけたっぷりに生かしておいたという所かもしれません。

秀麗なんですが、体の秘密が明かされましたねえ。
うわ、結構重い。
これはどうするつもりなんだろ?
まあ、そういう所もあって、こういう流れになってますが、これ話が続くんであれば、この次で出てくる超大混乱で全部ふっとんぶんでしょうねえ。
普通に考えれば、燕青が言っていたように戦争なんですけれど。

諸君、戦争は好きか?

ま、秀麗なら止めに回るんでしょうけれど、行方不明。
燕青やら、蘇芳、リオウもまとめて行方不明。
つーか、蘇芳は余分じゃないかと思うんですが、やっぱり巻き込まれてますな。彼らしい。

で、戦争ってのは、圧倒的なんですよ。オセロと同じで一発で逆転できる。
だからこそ、悲哀こもごも。読む側はおもしろいんですが、ここまで織り込んできたすべてを出してほしいですねえ。

彩雲国物語初の野戦とかやってほしいんですが。そもそも、まじめに戦争になるんだろうか。
そろそろ、藍楸瑛将軍による殲滅戦とか見せてもらわないと、彼が歴史に名を残すとは思えないんですよ。

つーわけで、血みどろの次巻を見てみたいです。

とりあえず、四月頃希望。

[本] アンゲルゼ永遠の君に誓う



急遽大人の事情により最終巻となってしまったアンゲルゼの第四巻。
店頭で手に取ってみるとその分厚さ、行間の細かさに目を見張ります。ここまで分厚いコバルト文庫は少ないと思う。
まあ、京極なんかにくらべればよっぽどマシではありますが。

さて、本編の方はすごい勢いでネジが巻かれております。
最初の一〇ページぐらいはどうにも肩の力が入っていたんじゃないかと思うような出だしでしたが、怒濤の勢いで進んでいきます。
有紗の死、湊の暴走、敷島と陽菜の真実、マリアの思い、樋口の中身、菅野とはどうなったー!という所で、まあ読んでください。
おもしろいです。以下、ネタバレありの感想。

結局ん所、流血女神伝みたいに神様の話が云々と出てくるんじゃなかろうかと思っていた、あたしゃーの予想は大はずれでした。
まあ、そんなの出したらこの巻で終わりませんわな。
個人的にも、こうなるべくしてなった感がありますが、やや少女小説らしくないエンディングだったように思います。

なんというか、希望があまり見えない終わりだったんで。もう少しほのめかしてもよかったんじゃなかろうかというか、それ以上にネジを巻きすぎで菅野よりもやっぱり渋い親父の敷島の方が何倍も目立っていて、いい男はいい男なんですが、それってコバルト文庫の読者ついてくるんかいな、と思ってしまいました。
特に、

 ・かっこいい男があまり出てこない
  →主要キャラでは湊ぐらい?、湊のヘタレっぷり&陽菜になびいていないので、なんだか。
   菅野はアレですんで、きゃーという人気はないような。
 ・強い親父キャラ
  →敷島、東はいいんですけれど、これってきゃーという人気にはならんというような
 ・敵に敬意が感じられない
  →生物的に別の種ですからねえ。で、人間不信をあおるような展開。
 ・あんまり身近じゃな
  →一巻はともかく、他はファンタジーな内容でしたから。で、効果絢爛ではなくて血みどろ汗みどろw

という感じでして、どうなんだよと思いました。
折しもこの不況下ですから、あんまり売れそうにない話ってのはざっくり打ち切りになるんでしょうなあ。

個人的には
 ・陽菜が結局アンゲルゼになっちゃった
 ・有紗あっさり殺しちゃったり
 ・マリアの幼さというか無邪気っぷりのボケボケ
 ・さりげなく、人間牧場なんて言葉がでてくる
点とかが大好きです。
もう少しアンゲルゼバージョンの陽菜を活躍させて欲しかったというか、人間とアンゲルゼの血をごくごく飲んで暴走する陽菜みたかったなーと思います、ハイ。
もう少し言えば、他女王蜂襲来→神流島でぐちゃぐちゃ→陽菜女王化→お友達全員アンゲルゼ化→世界のアンゲルゼへみたいな展開も見たかったです。
先にも書きましたが、菅野と湊のラブも敷島との葛藤も若干もの足りんのですよ。

つーわけで、次回作希望。
ただ、BBとアンゲルゼ続けてコレですからねえ、復活をお待ちしております。
むしろコバルトを脱出して、別レーベルで新シリーズをやった方がいいんじゃないのかしらん、と。

[漫画] 将国のアルタイル



近所の本屋さんでかれこれ二ヶ月近く、POPがついていて「おすすめ」という事だったので、だまされて買ってみた。
まあ悪くないが、巻数が足りん、という所である。

中世のイスラムをまねたトルキエ将国が舞台で、主人公は最年少将軍のマフムート。
隣国のバルトライン帝国の大臣が殺された。その矢はトルキエ将国の印が入っていた。開戦か、とざわめく中、マフムートは戦を避けるために、その裏にある陰謀を暴こうとするのだった、と。

まず、絵について。非常に読みやすい。そして、細部、人の服、装飾にも凝っていて、これは週刊連載じゃあできないだろというもの。
マフムート君も、帝国の暗殺者と戦う時、「ぞくり」とするような冷酷な顔つきを見せてくれる。その辺も非常によい。
若干たれ目ぎみな男が少なからずいるが、いずれもセクシーで、一癖もふた癖もある顔つきである。
歪んでいるからこそ、魅力的な顔というのはなかなかお目にかかれない。このまま量産体制に入って欲しい物だ。とはいえ、掲載誌がシリウスなんだよなあ。。うーん。。。

さて、話の方だが、実は熱い少年誌の趣である。
マフムートは基本的に非戦派であり、そのために単独行動しまくり。それがゆえに、主戦派のサガノス将軍ににらまれている状況である。
しかも、二巻では単独行動がすぎちゃった、という事で将軍を解任されてしまう。

おい。

正直、二巻読んだかぎりにおいて、マフムートの将軍としての才能がまったく描かれておらず、「こいつなんで将軍」という疑念が非常に強く感じられた。
その辺はさておき、あくどい敵と味方と癖のある男たち。猥雑な町の風景。冒険譚としては非常におもしろい水準である。

なので、進行が遅いのだけがもったいない。
次はちゃんとマフムートの将軍としての才能が開花するんでしょうなあ。。いいかげん、帝国と開戦しちゃって、乗り遅れるって事になったらどうなんだ?という事になるような。


余談だが、成り上がり系のキングダムとは全然異質です。
あっちは筋肉マッチョ系。しかも、首がすぽんすぽん飛ぶし、史実がベースだし。
こちらの方は女の子にもまだ勧められます。

[本] 大暴落1929



ガルブレイス氏の歴史的名著、との事なので読んでみた。
1929年のアメリカ大恐慌の引き金となった大暴落を実況中継しているかのように見事に活写してのけた本である。


一章 夢見る投資家
二章 当局の立場
三章 ゴールドマン・サックス登場
四章 夢の終わり
五章 大暴落
六章 事態の悪化
七章 暴落後の日々1
八章 暴落後の日々2
九章 原因と結果


したがって、この本を一度読んだだけで、大暴落の原因や何がどうなってああなったのかがスンナリとわかるような本ではない。
何度も読んで、大枠を頭に入れた上でさらに読み込むような本である。
どうしても手っ取り早く、という人には最終章の「原因と結果」だけ読む手があるが、それはこの本を手に取るような人がやるべきことではない。なぜなら、「どのように」という点こそが歴史を学ぶ上でもっとも大切な点だからだ。
原因と結果だけを取り出して、わかった風を装ったところで、現在我々が2008年現在遭遇しているサブプライムローンに端を発する大暴落に何ができるわけではない。
歴史に学ぶ、という事はよく言われるが、簡単な事ではないと改めて認識させてくれる良書である。

この本を読んでいるとFRBにせよ、フーバー大統領にせよ、銀行団にせよ、いずれにせよ失敗したのだとわかる。だからといって、彼らに何が出来たのかという暗澹たる気持ちになる。
今回のサブプライム問題でも世界中で色々な対策が打たれているが、結局の所うまく機能していない。次期大統領のオバマも麻生総理もフーバー大統領よりはやる気があるようだが(同じぐらいやる気がないのはブッシュかね)、かといって、この本を読んだ後では何が出来るのであろうかと思う。
政策がことごとく失敗した1929年の共和党と民主党の罪は重いように思われる。
特に、財政規律云々の話は封じ込めなければならないだろう。
長期的に食生活が不健全というのは、怪我で死ぬのを回避してからの事なのである。

しかし、それよりもこの本を読んで思うのは、バブルははじけるという事である。
大規模なバブルとなるのは、新手の金融商品が出てきた後で、今回は証券化商品ということになろうか。こういう後は一回大規模な暴落になる。それが歴史の示す所であろう。
そして、世代が一回りしたら忘れられて、また似たような事が起こるに違いない。

さて、最後にこの現代のサブプライムの暴落が恐慌につながって世界大戦につながらない事を祈る。
1929年の大恐慌は、結局日本との戦争によって不良在庫を一掃した事によって景気があがった。
戦争とは恐ろしいモノである、という事を改めて実感した次第。

[本] イコノクラストX



ついに最終巻。
ネロの暴走により降り立った二代目イコノクラスト<アブソリュート>。
一方のしょうごとイコノクラストにもはや聖体はなく、起動すら危ぶまれる状態。しかし、ショウゴは立ち向かう。どれほど絶望的な状況であろうと、自分の信じるもののために。

ってな感じですが、正直な所、代行者戦にくらべると「あっそー」という程度の温さ。
ネロとバルドも予想通り間抜けな死に方だったし、事後処理としてはこんなもんかねえという所。

少々意外だったのは、ショウゴとカリンが無事帰れた事ですかね。
あー、こりゃ無理なんじゃね――と前巻で思っていたわけですが、ラノベらしく終わらせてしまいました。
ちょっとあれはこれまでの展開から考えるとズルというか本当にご都合主義なんじゃね?と。
あのまま居残って、過酷な英雄の生を全うしてもよかったんじゃないかなーと。

まあ、最後のおまけは若干蛇足気味ですが、あたしゃ許します。ああいうのは好きです。


[本] 護樹騎士団物語〈9〉夏休みの戦い



護樹騎士団も九冊目。
無事生還訓練から帰還したリジュー、ビアンたち候補生に、なんと「特別休暇」が与えられた。
驚くリジューたちは、実家に帰ろうとするのだが、そこにラグランジュ大尉がささやく。

 「夏休みは<罠>なんだよ。ミラボーへのな」

放校を免れたビアンに次なる罠がしかけられる。実家に帰宅しちゃったら、もう出てこれないんじゃないか作戦。
それを止めるべく動くリジュー君だが、超空回り。
頭を痛めている所、ヴニーズ公爵家の執事が現れる。

 「シュエット姫が、お命を狙われてございます」

どっちを取るべきか悩むリジューくん。しかし、そんな悩みなどまとめて吹き飛んでしまう悪辣さ。果たしてリジュー、ビアン、シュエット姫は生き残れるのか――


てな所です。
相変わらず引きが今回も強烈です。次を速く出せ!と言いたいのですが、また三ヶ月後でしょう。
ビアン、やっぱすげぇ強いわ-。リジューより活躍してる感じ。でも耐久力はやっぱり全然ない。その辺、大変そうですな。ついでに言えば頭痛もこれから大変そうです。
個人的にはそろそろジャンも活躍してほしいんですが、今回はお預けですかね。なんか次回あたりに出てきてもおかしくないような。

吹いた台詞。

 「学校では話す機会がないじゃないか、君は」
 「わたしは?」
 「つんけんしているし」
 「では、でれでれしろと言うのかっ。皆の前で」

うむ、道理ですw
で、脱出の際は水着ですか。そんなのを助けにしているから、紋章官にあきれられるんですよ、はい。
だから、扉絵があれなんですか。リタが歳の割に成長著しいな。トゥールがなんだか遊び人っぽ。
ついでに言えば、表紙は帯にかくれてがちですが、ビアンの淑女姿。悪くないです。

[本] とある飛空士への追憶



どこぞで絶賛されていたので買ってみた。結論から言えば、ハードカバーで出すべきかと思う。
この所読んだラノベの中ではもっとも切ない恋物語である。

話はとても単純だ。
――戦時下の中、シャルルは次期皇妃ファナを孤立した都市から無事連れ出すよう命令を受けた。二人は飛空機に乗り込み、たった一機で一万二千キロを乗り越える。
そこに待ち受けるのは、敵国の艦隊。シャルルが操るサンタ・マリアより性能の高い真電の航空部隊が猟犬のごとく追う。二人は無事に味方と合流できるのか――

と書いてみたモノの、本題のシャルルとファナの心の交流について、すぽーんと落としている。
次期皇妃に決まったファナは、あまりの美しさで人を狂わせると言うほどの美少女。ぶっちゃけ、イラストがよくないと思う。この本に挿絵はいらない。読者の想像に任せりゃいいんである。かわいいと思うが、一〇里を照らすほどの美少女っていう風にはまったく思えない。特に表紙はもう少しファナを小さくしてバランスをとれなかったのかと少し残念に思う。で、ファナだが、幼い頃から家の出世の道具として見られていたため、自分の意志はことごとく無視された。それが故に心を閉ざしていた。
一方のシャルルは戦争をしている天ツ上とレヴァーム両国の混血児である。さらに厳格な階級制度のレヴァームを舞台にしている。当然彼は母を失った後いじめられ、死にかけた。しかし、彼は幸運にも教会に拾われ、そして心にはかつて母ともども使えていたファナの実家で、彼女に救われた事を覚えていた。だから、折れなかった。成長した彼は、飛空士になった。
そのシャルルとファナが、二人きりで脱出する。

最初のぎこちなさがすばらしい。
特にシャルルの方の心構えがいいと思う。彼女との記憶は心の支えではあったかもしれないが、現実とは違うとは違うとわかっているのだ。それでいて、わずかに期待している。肩の力の抜け具合と入り具合のバランスがいいと思わせる。
一方のファナは、監視生活から逃れ一息ついている。黙って一人周りを見渡すのが自由と感じる。それゆえに黙っていた。
その距離感が日々縮まってく。水着だけもってきちゃったり、おぼれてみたり、魚釣りをしてみたり、もっこりしてみたりと。そのやり取りは無人島で最高潮に達し、ムフフモードか?と思わせるが、そうなったら絶賛されないわけで。

この本のもう一方の華である、空戦の方にも触れておきたい。
はっきり言って、紅の豚の世界である。第一次大戦後の世界、そしてまだミサイルなどが使われていない時代の話
。集団での戦いがそれほど普及していない。
だからこそ、騎士道精神があるのだろうと思う。
最後のインメルマンターンについては何も言うまい。ちなみに、左捻り込みの方は失速しているため、回転半径が小さいとか聞いた事があるような。。いずれにせよ、相手との関係性で小細工をするのが巴戦というもので、そのあたりの機微がおもしろい。

さて、最後になったが、この本の魅力という奴は森薫の「エマ」や村上もとかの「メロドラマ」などに通じる部分があると思う。
重厚な時代背景、身分を超えた恋。つかの間の自由。
二人の仲が引き裂かれる時、かつてファナに救われたシャルルがあまりにもすがすがしい。
こういう本は読んでいていい。


しかし、この筋書きってのは最初から最後まで古典的じゃあないかと思ってしまった。
まあ、小説なんざあそういうモンだとしか言えないが。

[本] 女戦士エフェラ&ジリオラ、帝国の双美姫



ひかわ玲子の代表作のリメイク。
同じレーベルから出ている「帝国の双美姫」の方はエフェラ&ジリオラのん百年前という事になる。これも購入したので、一緒に感想を書いてみる。


先にエフェラの方。
ふつーの、ラノベだった。
エフェラとジリオラという二人の女戦士、オーリンという子供を連れて傭兵家業を続けていて、その逸話を描くものだ。
「帝国の~」を読んでから読むと、筆力に雲泥の差があるのが見て取れる。
ぶっちゃけ、方向性が違う。
エフェラの方は最初からはスケールの大きな話を描こうとしていないのだ。傭兵家業を続ける女戦士二人の逸話を楽しむもので、二人とも歴戦の戦士ではなく、駆け出しから中の上という状態である。壮大な長編ではなく、中編が詰まっている感じ。
しかも、バカ話も少なくない。恐るべき神々との戦いという形ではなく、あくまで人との戦いが中心である。

したがって、この辺を頭に置いてからよまないと、損をした気分になる。




つづいて、「帝国の双美姫」。
実はジャケ買い。ありがたい事にはずれではなかったようだ。
こちらはジリオラの遠い祖先、オカレスク大帝の孫娘のアムディーラ皇女とサファリナ皇女が主人公――とは言えない。ちなみに、性格はジリオラとエフェラそのまんま。
この巻での主人公は、ルークとゼラフィン王子だ。
舞台は、エフェラとの時にはハラーマから古き神々が去り、都市ができ、人々がそれなりに生活しているが、こちらはボッコボコにされてかろうじて生きている状態。
人間は死んでから魔物となって動くために生まれるような状態。
そのなか、オカレスティだけがまともに人の住める都市を形作り、大帝は大陸を聖化させようと神々と戦っている。二人の皇女もそれに手伝って前線に立ち、ゼラフィン王子もついに前線に立つ事になった。そのお供としてルークが選ばれた、という所から始まる。
見所と言えば、ゼラフィン王子が兵を率いて出発してから、古き神々に狙われてボコボコにされていく過程だ。
それはもう容赦なく死んでいく。
ルークの恋人出現(光源氏属性)か?と思った所であっさりと神に身を捧げて、死んでしまう。
その過酷さが非常によい緊張感を生み出している。

その辺が、エフェラの方には若干なくて拍子抜けした。

ま、次の巻もこの調子でいってくれるとうれしいのだが、最強ペア&最強親父出現しているので、さてどうなるか。
若干不安でもあり、楽しみでもあり。