[本] 五龍世界



正直、これを読むなら僕僕先生をオススメする。

壁井ユカコの五龍世界 だが、舞台は二〇世紀初頭の中国の田舎町のような世界である。
自転車があるし、活動写真がある。
西域がペルシャになっているし、伝道師が出てくるのが、実際の歴史とはあまり関係がない。
中国ファンタジー物でこの時代を扱うのは若干珍しいような気がするが、読んだ後でも、こうした時代を選んだ理由がさっぱりわからない。

まったくもって時代背景が物語に結びついていないからだ。

物語は、道士の元に置き去りにされた少女ユギの成長譚みたいなものである。
みたいな、というのは他に物語として、何か要素があるかな?と思った時、他には見当たらなかったので、成長譚みたいなもの、と思った。
ユギの師匠、兄弟子の左慈、そして、町の住人たちとワイワイと幸せな生活をしていた所、珍客がやってくる。
口の悪い牧師と、身なりのよい龍人の少女。
ユギを取り巻く世界は急に慌ただしくなりはじめたのであった――


いやまあ、実際、何が描きたかったんだろう?
読んで真っ先に思ったのがそれである。

キャラはそれなりに個性的であるし、生活感を活写する事にかけてはすばらしい技量があると思う。
登場人物が「プライドないの?」なんていう台詞を吐くのも許そう。

しかし、スケール感というか、そういうものがまったく感じられないのである。
ユギが師匠の死を乗り越えて、少しだけ自立しましたよ、という物語なのか。

それだけであれば、正直ここまで枚数を費やすことはなかろうに、と思うのだ。
コメディにもなりきれていないし、世界を巻き込むようなスケール感もない。
メタ小説的でもなければ、爽快感もないのである。

身の丈にあった物語、と言えばその通りだが、それではおもしろくない。
ただ、丁寧なだけ。

まあ、続編があるのであれば、それ次第なのかな、と思う小説でした。

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